class ::Racc::Parser
Racc
の生成するパーサはすべて ::Racc::Parser
クラスを継承します。::Racc::Parser
クラスにはパース中に使用するメソッドがいくつかあり、そのようなメソッドをオーバーロードすると、パーサを初期化したりすることができます。
Super Class
Constants
プリフィクス “Racc_” がついた定数はパーサの予約定数です。そのような定数は使わないでください。動作不可能になります。
Instance Methods
ここに載っているもののほか、プリフィクス “racc_” および “racc” がついたメソッドはパーサの予約名です。そのようなメソッドは使わないでください。
: do_parse -> Object
パースを開始します。
また、トークンが必要になった時は #next_token を呼び出します。
--
# Example
---- inner
def parse
@q = [[1,1],
[2,2],
[3,3],
[false, '$']]
do_parse
end
def next_token
@q.shift
end
--
: next_token -> [Symbol, Object]
[abstract method]
パーサが次のトークンを読みこむ時に使います。
[記号, その値] の形式の配列を返してください。
記号はデフォルトでは
* 文法中、引用符でかこまれていないもの
→ その名前の文字列のシンボル (例えば :ATOM )
* 引用符でかこまれているもの<br>
→ その文字列そのまま (例えば '=' )
で表します。これを変更する方法については、
文法リファレンスを参照してください。
また、もう送るシンボルがなくなったときには
[false, なにか] または nil を返してください。
このメソッドは抽象メソッドなので、#do_parse を使う場合は
必ずパーサクラス中で再定義する必要があります。
定義しないままパースを始めると例外 NotImplementedError が
発生します。
: yyparse( receiver, method_id )
パースを開始します。このメソッドでは始めてトークンが
必要になった時点で receiver に対して method_id メソッドを
呼び出してトークンを得ます。
receiver の method_id メソッドはトークンを yield しなければ
なりません。形式は #next_token と同じで [記号, 値] です。
つまり、receiver の method_id メソッドの概形は以下のように
なるはずです。
--
def method_id
until end_of_file
:
yield 記号, 値
:
end
end
--
少し注意が必要なのは、method_id が呼び出されるのは始めて
トークンが必要になった時点であるということです。method_id
メソッドが呼び出されたときは既にパースが進行中なので、
アクション中で使う変数を method_id の冒頭で初期化すると
まず失敗します。
トークンの終端を示す [false, なにか] を渡したらそれ以上は
yield しないでください。その場合には例外が発生します。
最後に、method_id メソッドからは必ず yield してください。
しない場合は何が起きるかわかりません。
: on_error( error_token_id, error_value, value_stack )
パーサコアが文法エラーを検出すると呼び出します (yacc の yyerror)。
エラーメッセージを出すなり、例外を発生するなりしてください。
このメソッドから正常に戻った場合、パーサはエラー回復モード
に移行します。
error_token_id はパースエラーを起こした記号の内部表現 (整数) です。
#token_to_str で文法ファイル上の文字列表現に直せます。
error_value はその値です。
value_stack はエラーの時点での値スタックです。
value_stack を変更してはいけません。
on_error のデフォルトの実装は例外 ParseError を発生します。
: token_to_str( t ) -> String
Racc トークンの内部表現 (整数)
を文法ファイル上の記号表現の文字列に変換します。
t が整数でない場合は TypeError を発生します。
t が範囲外の整数だった場合は nil を返します。
: yyerror
エラー回復モードに入ります。このとき #on_error は呼ばれません。
アクション以外からは呼び出さないでください。
: yyerrok
エラー回復モードから復帰します。
アクション以外からは呼び出さないでください。
: yyaccept
すぐに値スタックの先頭の値を返して #do_parse、#yyparse を抜けます。